wedding-byte3

 

新郎新婦にとっては一生で一度の大切な瞬間である結婚式。そんな結婚披露宴場でのアルバイトって華やかで憧れる!そんな方も多いと思います。

実は、些細なミスも許されない、アルバイトにとっては緊張の連続の現場なのです。

 

結婚式アルバイト2年目の私

wedding-byte2

週末、憧れの披露宴会場で配膳を行うアルバイトをスタートして2年ほど経った頃のことです。

披露宴では何度も配膳し、流れもバッチリ、重要な席を任されることも多くなってきていました。

どこかで油断する気持ちがあったのでしょう。

その頃の私は、お客様のことより、自分の仕事の流れや、スケジュール通りに披露宴が進行しているか、などに意識を向け、本来のお客様を精一杯もてなすという目的を忘れてしまっていました。

結婚式バイトで絶対にしてはいけない失敗

その日、2本目の披露宴で配膳をしていた私は、会場の広報に新郎のお母様と、新人スタッフが一緒にお酒を取りに行くのを見つけました。

両家の両親は、招待したお客様にお酒を注いで回るため、何度もビール瓶を取り替える必要があります。そんなこと当然わかっていることなのに、両親卓の担当スタッフはどうしてたくさん持っていってないのだ。

新人スタッフもビール瓶の栓を開ける手際が悪い。私はすぐに手間取っている後輩スタッフからビール瓶を取り上げ、勢いよく栓を抜きました。

その瞬間です。

ビール瓶の底が卓上で滑り、たくさん並べてあった熱燗の瓶を倒してしまったのです。

熱燗のお酒は、ビール瓶の栓が開くのを私の目の前で待っていた新郎のお母様の真っ黒な着物に信じられないほどかかりました。

披露宴アルバイトでは絶対にしてはいけない失敗に「ぶっかけ」というものがあります。
お客様のお召し物に料理やお酒をこぼしてしまうことです。

私は真っ青になりながらやっとのことで「す、すみません。申し訳ございません。」と言いました。

すぐに周りのスタッフが集まり、お母様の着物を拭き、謝罪の言葉を伝えました。

アルバイトリーダーから事情を聞いた会場の支配人、私の派遣会社の責任者が集まってきました。代わる代わるお酒をかけてしまった方とそのご家族に謝りに行っているようでした。

会場の裏側は騒然としていましたが、私は自分がしてしまったことに震えがとまらず、誰ともまともに話すことができませんでした。

披露宴が終わり新郎のお母様から・・

wedding-byte1

何とか気持ちを立て直し、その後の配膳はミスなく終えらその披露宴が終わりました。

新郎の挨拶が終わり、会場から来賓者が立ち去った後、1人の女性が戻ってきてそっと近づいてこられました。

私がお酒をかけてしまった新郎のお母様でした。

お母様は、私のそばにきて優しく「今日はありがとうございました。また、よろしくお願いしますね。」と笑顔で声をかけてくださいました。

その時の声と笑顔がとても優しく、私は胸がつまって上手く返事することができませんでした。

「せっかくの結婚式なのに、ごめんなさい」

「素敵な着物お酒まみれにして、式の最中気持ち悪かったでしょう」

謝りたいことはたくさんありましたが、この女性の優しさと私のようなスタッフの1人に対する心遣いに感動して、私は涙を堪えるのが精一杯でした。

その後、支配人や社員の方からの注意などもちろんありましたが、私にはこのお母様の一言が一番効きました。

その後、アルバイトではお客様に誠心誠意尽くすことを第一に考えるようになりました。

あれから10年経とうとしていますが、今でもあのお母様の優しさは忘れられません。

誰かが失敗した時には、私もあの人のように声をかけられる人になりたいと思います。